導入事例
運輸・物流業

Interview #07
デジタル点呼マネージャー・スマート
長距離輸送中も、チェック結果は即座に確認
■緑ナンバーの運送車両を45台、ほぼ同数のドライバーで運用中。
■主な積荷は「半導体製造装置」。
■2泊・3泊での輸送も多く、拠点での対面点呼ができないケースも。
■運用開始は2023年4月。
45台の緑ナンバートラックを運行している精密機器輸送のプロフェッショナル、サン・エキスプレス様。
一週間を超える長時間かつ長距離の輸送が多い、特殊な業務スタイルでのアルコールチェックに、「デジタル点呼マネージャー・スマート」をご活用いただいています。
今回は、業務部部長の鈴木様、副課長の木村様のお話を伺いました。
(取材時期 : 2025年2月)
Q:システム導入の対象となった方は、どのような勤務形態でしたか?
2日がかり、3日がかりの長距離・長時間な輸送が多く、
対面のチェックはできていませんでした。
私たちサン・エキスプレスは、主に精密機械の輸送を行っています。特に多いのは「半導体」関連の機器の輸送・据付です。こういった荷物は高価なものが多く、億を超えることも珍しくありません。また機器によっては0.1度単位での温度管理を求められる品もあり、輸送には非常に気を遣います。
当社は、東京、神奈川、大阪の3箇所に拠点があり、45台のトラックを、ほぼ同数のドライバーで運行しています。輸送範囲は北海道から沖縄まで。時には国境を超えて韓国まで輸送することもあります。長い時は一週間以上かけての輸送となることもあり、そうなると対面では点呼ができない、というのが悩みではありました。
木村様:
「デジタル点呼マネージャー・スマート」の導入前のアルコールチェックは、拠点で点呼する場合は、各拠点に置いたアルコールチェッカーで計測し、チェッカーのデータをPCに入力・管理していました。遠隔地に泊まりがけで輸送するドライバーについては、アルコールチェッカーを携帯させ、運転開始時・終了時に各自が計測し、計測結果を携帯電話で報告してもらっていました。このアルコールチェッカーは、ネットにつながるタイプではなかったため、実際のデータの確認は、帰庫時にメモリーカードを回収して行っていました。ですから、リアルタイムで数値を確認できないこと、および、ドライバー本人が呼気を入れているか確認できない、ということが、課題として挙げられていました。
現業部長 兼 業務部長
鈴木 雅博 様
Q:導入した経緯について教えてください。
操作がシンプルなこと、そして「物流大手の山九」さんの
グループ企業であることが大きかったです。
「デジタル点呼マネージャー・スマート」の導入を考えたのは、2022年の暮れくらいです。ちょうど、その当時使っていたアルコールチェッカーの使用期限が近づいてきていて、機器の更新をしなければならないタイミングでした。どうせ換えるなら、より使い勝手の良いものにしよう、といろいろ調べる中で、中央自動車工業さんと、インフォセンスさんに勧めていただいたプランが、機能的にも、予算的にも、我々の使い方に合っていると考えました。また、インフォセンスさんが、物流大手の山九さんのグループ会社だったことも、きっと物流の現場に対する理解が深いのでは、と期待しました。
木村様:
検討の際に重視したのは、まず「操作がカンタンであること」です。当社のドライバーは40代後半が多いのですが、IT機器などの操作に不慣れな者も多いため、操作が複雑だと使ってもらえない可能性がありました。導入に際しては、インフォセンスさん以外の会社さんからも提案を受けていましたが、他社さんのものは操作が煩雑で、毎日ドライバーに操作してもらうには、適していませんでした。「デジタル点呼マネージャー・スマート」がもっとも操作がわかりやすく、このことが導入の一番の決め手となりました。
鈴木様:
管理側の視点としては、「クラウドでデータを保管できて管理しやすい」ことも、大きなポイントでした。アルコールチェックの結果は簡単に一覧できて、東京から神奈川や大阪の事業所のデータもリアルタイムで確認できるのは便利だと感じました。親会社が物流大手の山九さんということもあり、現場のニーズがよくわかっているな、と感じました。
木村様:
当社が必要なものがすべて揃っていて、費用的にも納得がいくものでしたので、導入を決定しました。2023年5月から運用を開始しました。特に勉強会などは実施しておらず、マニュアル配布と説明を行っただけですが、問題なく使えています。
業務部副課長
木村 禎 様
Q:現在の運用について教えてください。
遠隔地でも、リアルタイムに結果がわかって安心です。
現在は、インフォセンスさんからアルコールチェッカー20台を購入し、同数のスマートフォン(会社名義)を用意して、東京・神奈川・大阪の拠点に分配しました。各拠点では、アルコールチェッカーとスマートフォンをセットにして 、点呼台に1組を設置、残りは持ち出し用として運用しています。泊まりがけでの輸送の際は、そのセットを持ち出して、運行開始時・終了時にチェックを行っています。ドライバーからも、「使いやすい」と概ね好評です。
鈴木様:
管理する立場としても、「本人が呼気を吹き込んでいること」が映像として確認できるので、以前よりも安心できるようになりました。また、アルコールチェッカーの精度も高いと感じています。「デジタル点呼マネージャー・スマート」導入後、前に使っていたアルコールチェッカーでは検知されないような小さな数字の反応が、ごくまれに検出されることがありました。その結果は自動的に、鈴木・木村・総務部の3名に通知される仕組みとなっており、万一に備えてドライバーを交代させたこともあります。
木村様:
当社では、一年間安全運転を続けたドライバーを表彰する制度があるのですが、「デジタル点呼マネージャー・スマート」の導入とともに、「アルコールチェックで反応したらその候補から除外する」というルールを作ったんです。そういったこともあり、またアルコールチェッカーの精度が高くなったことで、ドライバーの意識も高くなりました。いままでと違い、翌日に乗務がある日は皆飲酒を避けるようになりましたね。
Q:「安全運行」にとって、もっとも大切なものは?
ドライバー一人ひとりが「プロとしての意識」を高く持つことが大切だと思います。
木村様:
当社では安全な運行を実現するために、車両、ドライバーの両方に対する取り組みを行っています。
車両には、ドライブレコーダーやGPSといった設備を導入しているほか、安全対策のためタイヤも国内メーカーを採用したり、東京に拠点を置く会社では珍しく夏用/冬用を台数分揃えています。定期整備は、ディーラーにきっちりと行なってもらっていますし、ドライバーには車両を綺麗に保つことで支給される「愛車手当」も用意しています。
また、実際に車両を運行するドライバーに対しては、安全運転講習を毎月行っており、雪の季節の前には、実際にチェーンを巻く訓練などもしています。アルコールチェックについても、義務化の前からはじめています。また、業務部として、ドライバーの負担を大きくさせないような運行スケジュールを組むようにしています。
積荷が非常に高価だということもあり、安全に対しては、できることはすべて行うという企業風土ではあると思います。
鈴木様:
当社はもうすぐ創立70周年を迎えますが、これまでに人身事故は一件も起こしていないと聞いています。長年にわたり大きな事故もなく運行できているのは、一人ひとりのドライバーが「大切な荷物を積んでいる」という意識を強く持っているからだと思います。精密機器の輸送は非常にデリケートで、昔は先輩ドライバーから「金魚鉢を積んでいると思え」と教わったそうです。そんな、高い技術が求められる輸送だからこそ、ドライバー一人ひとりにプロとしてのプライドと意識を高く持ってもらいたいですね。そのためにも、今回の「デジタル点呼マネージャー・スマート」の導入が、さらに安全意識を高めるきっかけになったと思います。
企業としても、ドライバーに「サン・エキスプレスという看板を背負って走っている」ことを自覚させ、地域の方々に安心していただけるような運転をしてもらえたらと思います。