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運行管理者の未選任による影響とは?罰則やリスク、対策についても解説

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運行管理者の未選任による影響とは?罰則やリスク、対策についても解説

本記事では、運行管理者が未選任であることによって生じる具体的な問題やリスクに加え、未選任の背景となる原因についても詳しく解説します。さらに、限られた人的リソースの中で、こうした問題にどのように対応すべきか、実効性のある解決策もあわせてご紹介します。

■運行管理者の未選任がもたらす問題

運行管理者は、ドライバーが安全に運転できるよう、休憩・仮眠施設の管理や指導・監督、点呼による健康状態の確認など、極めて重要な役割を担っています。
そのため、運行管理者が未選任のまま運行を行えば、交通事故のリスクが高まるだけでなく、事業停止などの行政処分を受ける可能性があります。さらに、社会的責任の追及や、企業としての信用の失墜といった深刻な影響にもつながりかねません。
以下では、運行管理者の未選任によって科される罰則や行政処分について解説します。

罰則

運行管理者が未選任の状態で運行を行った場合は、道路運送法や貨物自動車運送事業法に基づき、選任義務違反として罰金が科されます。

図表1: 業種別 運行管理者選任義務違反時の罰金額
業種 罰金
一般旅客自動車運送事業者 運行管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や営業所が運行管理者を選任していない場合、100万円以下の罰金が科される
一般貨物自動車運送事業者 運行管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や営業所が運行管理者を選任していない場合、150万円以下の罰金が科される

行政処分

罰金にとどまらず、運行管理者が不在(=未選任)であった場合には、行政処分も科されます。特に、運行管理者の未選任や必要人数の不足が確認された場合には、30日間の事業停止処分が下されると同時に、違反事業者として社名がWeb上で公表されるため、企業の信用にも大きなダメージを与えかねません。
実際、2024年2月には、運行管理者の未選任や点呼記録の不備により、関東の13社が行政処分を受け、社名が公表される事態となりました。

参照元:運行管理者不在や不実記録など、関東で13社処分 (LogisticsToday)

事故を引き起こすリスク

運行管理者が未選任の状態では、ドライバーの健康状態の確認や労務管理、点呼など、安全運行を支える日常業務の実施が困難になります。
本来、運行管理者は、日々の点呼や健康チェック、ドライバーへの指導・監督を通じて、事故の未然防止という重要な役割を担っています。
しかし、未選任のままでは、点呼が形骸化したり、無理なシフトによってドライバーが過労状態で運行を続けるといったリスクが高まります。
万が一事故が発生すれば、ドライバーや歩行者などに甚大な被害が及ぶだけでなく、企業が多額の賠償責任を負い、社会的信用を失う可能性もあります。
さらに、荷主からの信頼を失えば、経営への影響も避けられず、事業継続自体が危うくなるおそれもあります。

■運行管理者が未選任になる主な理由

運行管理者の未選任は、どのような理由で発生するのでしょうか。
ここでは、未選任につながる代表的な原因をいくつか挙げながら、その背景にある現場の課題や実情について解説します。

人的リソース不足

運送業界では、慢性的なドライバー不足に加え、運行管理者の人材不足も深刻な課題となっています。
国土交通省が令和3年度に「運行管理高度化検討会」の中で実施した調査によると、業態別に約20〜40%の事業者が「運行管理者が不足している」と回答しており、その実態が浮き彫りになっています。
運行管理者になるためには、国家試験への合格または**5年以上の実務経験と講習(年1回以上、通算5回)**の受講が必要であり、決して容易に取得できる資格ではありません。
加えて、運行管理者の業務は、日々の点呼、帳票類の作成、安全教育の実施など多岐にわたり、責任が重く、専門性も求められます。そのため、賃金面でも一般社員より高めに設定する必要があり、人件費の制約から必要な人数を確保できないという企業も少なくありません。
また、現場経験を活かしてキャリアアップを目指す人が運行管理者になるケースもありますが、業務の多忙さや精神的負担の大きさから離職してしまうこともあります。
このように、採用難・高コスト・離職のリスクが重なり、結果として運行管理者が長期間にわたって未選任のまま放置されるケースも発生しているのが実情です。

拠点や車両の増設

事業の拡大により複数の拠点を展開する場合、それぞれの営業所に運行管理者を選任する必要があります。
また、各拠点が保有する車両数が多い場合には、車両台数に応じた人数の運行管理者を配置しなければなりません。
たとえば、一般貨物自動車運送事業では、営業所ごとの事業用自動車(被けん引車を除く)の保有台数に応じて、運行管理者の必要人数が以下のように法令で定められています。

図表2: 事業用自動車の車両数と運行管理者の選任数の最低限度
事業用自動車の両数(被けん引車を除く) 運行管理者数
29両まで 1人
30両から59両 2人
60両から89両 3人
90両から119両 4人
120両から149両 5人
150両から179両 6人
180両から209両 7人
210両から239両 8人

引用元:貨物自動車運送事業の運行管理に関する基本的考え方 (国土交通省)

上の表は、国土交通省令に基づいて定められた、車両数に対する運行管理者の選任必要数です。実際には、各拠点の業務量や労務管理の実態に応じて、運行管理補助者の配置を含めた柔軟な体制構築が求められます。なお、運行管理者の選任基準は事業の種別によって異なります。
ここで紹介した基準はあくまで一般貨物自動車運送事業に適用されるものであり、旅客運送事業や特定業種においては別の規定が設けられています。
詳細については、各事業に適用される運輸規則をご確認ください。

■運行管理者の未選任に対する対応策

ここまでの内容から、運行管理者が未選任の状態にあることによるリスクについて、ご理解いただけたかと思います。
では、こうした事態を未然に防ぐには、どのような対応策が考えられるのでしょうか。以下では、代表的な2つの方法をご紹介します。

人員の採用

運行管理のデジタル化

■運行管理者の未選任には早急な対応が必要

運行管理者が未選任のまま運行を続けると、法令違反による行政処分や交通事故のリスク増大など、企業経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
こうした事態を防ぐためには、人員の計画的な採用や、IT点呼をはじめとするデジタル化の推進といった具体的な対応策が不可欠です。
運行管理体制の強化は、安全で安定した事業運営を支える土台となります。今後の法令対応と企業の信頼維持のためにも、早めの対策が求められます。

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