副安全運転管理者とは?安全運転管理者との違いや必要性についても徹底解説

一定数以上の車両を保有する事業所は、副安全運転管理者を選任する義務があり、安全運転管理者と同様に大きな責任を負います。
本記事では、副安全運転管理者の具体的な役割や、安全運転管理者との違い、資格要件などを詳しく解説します。
目次
■副安全運転管理者とは
副安全運転管理者は、保有する自動車が20台以上の事業所に対して、安全運転管理者の業務を補助するために、道路交通法によって選任が義務づけられています。副安全運転管理者は、安全運転管理者の業務をサポートし、より安全な運行が実現できるように、安全運転管理者とともに業務を行います。
安全運転管理者と副安全運転管理者の違い
安全運転管理者は、安全運転のための運行計画の作成やドライバーのアルコールチェックの実施・記録といったさまざまな業務を担います。副安全運転管理者についても、実施する業務は安全運転管理者と変わりません。
大きな違いとしては、選任が必要とされる条件や資格要件などが挙げられます。
条件項目 | 安全運転管理者 | 副安全運転管理者 |
---|---|---|
年齢 | 20歳以上(副安全運転管理者を置く事業所にあっては30歳以上) | 20歳以上 |
資格要件 | 以下のいずれかに該当する方 ・運転管理の実務経験2年以上 ・公安委員会の認定を受けている (専務・部長・課長等で、事業所等の従業員を指導、車両等を管理できる地位の方が望ましい。) |
以下のいずれかに該当する方 ・運転管理の実務経験1年以上 ・運転経験3年以上 ・公安委員会の認定を受けている (係長又は係長相当職以上で、事業所等の従業員を指導、車両等を管理できる地位の方が望ましい。) |
人数 | 乗車定員が11人以上の自動車にあっては1台、その他の自動車にあっては5台以上を使用している事業所(自動車使用の本拠)ごとに1名を選任 ※自動二輪車(原動機付自転車を除く)は0.5台として換算 |
自動車を20台以上使用している事業所で、20台ごとに1人 (19台未満は選任不要) ※自動二輪車(原動機付自転車を除く)は0.5台として換算 |
補助者と副安全運転管理者の違い
補助者という名称を聞くと、副安全運転管理者と同じようなイメージを抱くかもしれませんが、法律で定められる「副安全運転管理者」と「補助者」とは役割や責任が全く異なります。
補助者は、会社や事業所が独自に配置することができるサポート役であり、法的に定められた資格や要件があるわけではありません。
一方、副安全運転管理者は一定台数以上の車両を保有する場合に選任が義務づけられています。
つまり、補助者は社内の役割として柔軟に配置することができるのに対し、副安全運転管理者は道路交通法によって、明確に位置づけられた法的責任を負うポジションであるという点が大きな違いです。
■副安全運転管理者の選任義務
以下では、副安全運転管理者の選任人数や選任を怠った場合の罰則について解説します。
選任対象と選任すべき人数
副安全運転管理者を選任しなければならないのは、一定数以上の車両を使用している事業所が対象となります。具体的には、使用する自動車が19台までの場合は選任の義務はありませんが、20台以上の自動車を使用している企業や事業所では、副安全運転管理者を選任する必要があります。たとえば、自動車を50台以上使用するような事業所の場合、車両台数が多くなるため、安全運転管理者1人では管理が難しくなります。そのため、20台ごとに1人の割合で、副安全運転管理者を追加で配置することが法律で定められています。

選任を怠った場合の罰則
法令で義務づけられている副安全運転管理者を選任しなかった場合、安全運転管理者と同様、事業所に対して罰則が科されます。具体的には、副安全運転管理者を選任しなかった場合、「50万円以下の罰金」が科されます。
罰金を科されるだけでなく、企業イメージの低下や取引先からの信頼性低下といった間接的なデメリットも大きいため、選任を怠らないよう、選任すべき要件や人数を正しく理解しておくことが重要です。
■副安全運転管理者の資格要件
副安全運転管理者として選任されるには、安全運転管理者と同様に、いくつかの資格要件を満たす必要があります。満たすべき要件は以下のとおりです。
20歳以上で、以下のいずれかに該当する方
- 運転管理の実務経験1年以上
- 運転経験3年以上
- 公安委員会の認定を受けている
(係長又は係長相当職以上で、事業所等の従業員を指導、車両等を管理できる地位の方が望ましい。)
また、安全運転管理者と同様に、過去に交通違反や公安委員会の解任命令により解任された行政処分歴がある方を選任することはできません。具体的には、以下に該当する方は、副安全運転管理者の資格を得ることができません。
- 公安委員会の解任命令により解任された日から2年を経過していない
- 次のいずれかの違反をした日から2年を経過していない
- 交通事故の場合の救護措置義務違反(いわゆるひき逃げ)
- 無免許運転、酒酔い運転、酒気帯び運転、麻薬等運転
- 妨害運転(いわゆるあおり運転)
- 無免許運転に関わる車両の提供、車両への同乗
- 酒酔い・酒気帯び運転に関わる車両・酒類の提供、車両への同乗
- 酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車違反の下命・容認
- 自動車の使用制限命令違反
■副安全運転管理者の届出方法
副安全運転管理者の選任が決まったら、届出の手続きを行う必要があります。どのような書類を準備してどこに提出すればいいのでしょうか。また、万が一手続きを怠った場合にはどのような罰則が下されるのかをきちんと把握しておかないと、後からトラブルに発展する可能性があります。ここでは、副安全運転管理者の届出方法や届出先、必要書類、届出を怠った場合の罰則について解説します。
届出先
副安全運転管理者を選任したら、選任した日から15日以内に自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければなりません。これは安全運転管理者を選任する手続きと同様です。また、解任や変更があった場合も同じくその日から15日以内に届け出る必要があります。
届出に必要な書類
- 副安全運転管理者に関する届出書
- 戸籍抄本、住民票の写し、または運転免許証の写し等のいずれか
- 車両管理の実務経験が1年以上ある場合は、運転管理経歴証明書
- 車両管理の実務経験が1年未満の場合は、副安全運転管理者資格認定申請書
- 運転記録証明書(1か月以内発行日付のもの、かつ、3年間以上のもの)
届出には、副安全運転管理者を選任することを証明する書類や、選任される本人が資格要件を満たしていることを確認できる資料等が必要となります。各書類は、インターネットでダウンロードできるものが多いですが、運転記録証明書は自動車安全運転センターにて発行を行う必要があります。証明書が発行されるまで通常10日程度かかるようなので、早めに手続きを進めておくことをお勧めします。
届け出なかった場合の罰則
法律で義務づけられている選任の届出を怠ると、選任解任届出義務違反となり「5万円以下の罰金」が科されます。
また罰則が科されるだけでなく、警察や監督官庁からの指導や勧告を受ける恐れがあります。副安全運転管理者がいない状態で業務を続ければ、もし事故や違反が起きたときに、管理責任の追及がより厳しくなるかもしれません。社会的責任を果たすためにも、選任だけでなく適切な時期に届出を行うことが非常に重要です。
■副安全運転管理者の9つの業務
副安全運転管理者は、安全運転管理者の業務を支援する役割として、安全運行に関わる幅広い業務に関与します。以下に、道路交通法施行規則で定められた9つの主な業務をご紹介します。これらは本来、安全運転管理者が遂行すべきものですが、副安全運転管理者も補佐的立場から関わることになります。

①運転者の状況把握
自動車の運転についての運転者の適性、知識、技能や運転者が道路交通法等の規定を守っているか把握するための措置をとること。
②運行計画の作成
運転者の過労運転の防止、その他安全な運転を確保するために自動車の運行計画を作成すること。
③交替運転者の配置
長距離運転又は夜間運転となる場合、疲労等により安全な運転ができないおそれがあるときは交替するための運転者を配置すること。
④異常気象時等の措置
異常な気象・天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、安全確保に必要な指示や措置を講ずること。
⑤点呼と日常点検
運転しようとする従業員(運転者)に対して点呼等を行い、日常点検整備の実施及び飲酒、疲労、病気等により正常な運転ができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。
⑥酒気帯びの有無の確認
運転前後の運転者に対し、酒気帯びの有無について当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて、確認を行うこと。
⑦酒気帯びの有無の確認の記録保存・アルコール検知器の常時有効保持
酒気帯びの有無の確認内容を記録し、一年間保存するとともに、アルコール検知器を常時有効に保持すること。
⑧運転日誌の備付け
運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。
⑨安全運転指導
運転者に対し、「交通安全教育指針」に基づく教育のほか、自動車の運転に関する技能・知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと。
■副安全運転管理者は重要な存在
副安全運転管理者は、安全運転管理者を補佐し、交通事故や違反を防止する上で欠かせない存在です。ドライバーの人数や車両台数が多くなると、安全運転管理者・副安全運転管理者の業務負担が懸念されます。本記事で解説した9つの業務を漏れなく効率的に実施するためには、今の業務体制や組織の見直しを行い、実効性のある管理体制を構築することが求められます。
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