運行管理者は運転してはいけない?兼任可能な条件について解説

運行管理者は運転してはいけないのか?
結論から言えば、運行管理者が運転業務を兼ねることは可能です。ただし、それは運行管理者としての本来の業務、すなわち「安全運行の確保」に支障がない場合に限られます。
本記事では、運行管理者が運転業務を行う際に満たすべき条件について解説します。
目次
■運行管理者が運転業務を兼任することができる条件
運行管理者の主な役割には、ドライバーの健康状態の確認、運行スケジュールの管理、安全運行のための指導・監督など、多岐にわたる業務が含まれます。しかし、現場の都合でどうしても人手が足りない場合には、運行管理者が運転業務を担うケースも想定されます。
では、運行管理者が運転業務を兼任できるのは、どのような条件を満たす場合でしょうか。その条件とは、
「配置すべき人数を超えて運行管理者を配置しており、運行管理補助者などの配置により安全運行の管理が問題なく実施できている」ことです。
つまり、運行管理者が一時的に運転業務を行う際には、その間の運行管理業務を運行管理補助者などが適切に代行できる体制が必要となります。ただし、補助者がすべての運行管理業務を担えるわけではないため、それぞれの役割と業務範囲を正しく把握することが重要です。
■運行管理者とは
運行管理者とは、事業用自動車を使用する運送事業者において、安全な運行を確保するために必要な業務を行う資格者のことです。
道路運送法及び貨物自動車運送事業法によって、業務内容が定められており、ドライバーの労務管理や運行計画の策定、健康状態の把握などを通じて、事業用自動車の運行の安全を確保します。
運行管理者は運行管理者試験に合格するか、5年以上の実務経験と5回以上講習を受講することで資格を得ることができます。
運行管理者の業務内容

運行管理者が行う主な業務は、以下のとおりです。
- ドライバーの乗務割の作成
- 休憩・睡眠施設の保守管理
- ドライバーの指導監督
- 点呼によるドライバーの疲労・健康状態等の把握
- 安全運行の指示
このように、ドライバーの健康管理と労務管理が運行管理者の業務の重要な柱となっています。
特に点呼時における健康状態の確認に加え、必要に応じて休憩や睡眠時間の確保を指示することで、事故リスクを低減させることが、運行管理者の大きな役割です。
また、車両の安全運行を確保するには、整備管理者との連携も不可欠です。整備管理者が実施する点検・整備の結果を適切に共有し、運行管理者はその情報をもとに運行計画の見直しや、運転者への具体的な指示を行うことで、より安全な運行体制を構築することが求められます。
■運行管理補助者とは
運行管理補助者とは、その名のとおり、運行管理者の業務を補助する立場にある者を指します。
選任にあたっては、国土交通大臣が認定する講習を修了した者の中から選任することができます。
ただし、運行管理補助者は運行管理者のすべての業務を代行することはできません。
主に、点呼に関する業務の一部のみを代理で行うことが可能です。
また、点呼の際にドライバーの酒気帯びや睡眠不足など、安全運行に支障をきたすおそれのある事象が確認された場合は、運行管理補助者だけで判断することはできず、必ず運行管理者による判断・指示が必要です。
運行管理補助者の業務内容

運行管理補助者は、運行管理者の業務の一部を担いながら、安全運行を支える日常業務をサポートする役割を果たします。具体的には、以下のような業務が挙げられます。
- 運行管理者の指示の下での点呼実施(点呼を行うべき総回数の3分の2未満)
- 運行指示書に関連する資料作成およびドライバーへの伝達行為
ただし、運行管理補助者には運行管理者の最終的な判断権限や責任はありません。
代理で一部の業務を実施できるとはいえ、重要な判断を独断で行うことはできず、最終的な判断は必ず運行管理者が行う必要があります。
特に点呼時に酒気帯びや睡眠不足などの異常が認められた場合や、運行指示に関する重要事項の判断が求められる場合には、必ず運行管理者の判断・指示を仰ぐ必要があります。
運行管理補助者は、あくまで運行管理者の指示・方針に基づき、現場の業務を円滑に進めるための補助的立場であることを正しく理解しておくことが重要です。
■点呼業務のデジタル化にはデジタル点呼マネージャーの導入がおすすめ
近年、運行管理者の業務効率向上を目的としたデジタル化が急速に進んでいます。中でも代表的なのが、点呼管理のデジタル化です。インフォセンスの『デジタル点呼マネージャー』は、点呼・車両・運転手の情報を一元管理できるクラウドシステムであり、運行管理業務の効率化と業務負荷の軽減に大きく貢献します。
こうしたデジタルツールを導入することで、運行管理者がやむを得ず運転業務を兼任する場合であっても、安全運行の管理がより確実かつ効率的に行えるようになります。
その結果、業務効率の向上とリスクの低減を同時に実現することが期待されます。