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適切なアルコールチェッカーの使い方と注意点について解説

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適切なアルコールチェッカーの使い方と注意点について解説

この記事の概要

飲酒運転の防止に不可欠なアルコールチェッカーですが、誤った使い方をすると、測定精度が低下し、結果として重大なトラブルにつながるおそれがあります。
本記事では、アルコールチェッカーの基本的な使用方法から、測定精度を高めるためのポイント、使用目的に応じた機種の選び方まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
さらに、道路交通法に基づいた法令遵守のポイントや、機器のメンテナンス方法、トラブル発生時の対応策についても詳しく紹介。
安全運転管理の精度向上と法令対応を両立させるために、企業の安全管理担当者・運行管理者の方は、ぜひ最後までご一読ください。

■アルコールチェッカーとは

アルコールチェッカーの基本を理解するには、機能と仕組み、法的背景と安全運転への影響を理解することが重要です。以下で詳しく解説します。

アルコールチェッカーの基本機能と仕組み

アルコールチェッカーは、呼気中に含まれるアルコール濃度を測定する機器です。飲酒運転を防止する目的で、運送業など緑ナンバー車両を使用する企業はもちろん、白ナンバーの自家用車を業務に使用する一般企業においても、安全運転管理の一環として幅広く活用されています。
基本的な仕組みとしては、呼気に含まれるアルコール成分がセンサーに反応し、その濃度が数値として表示される構造になっています。
正確に測定するためには、飲酒後すぐだけでなく、飲食や喫煙直後の測定も避ける必要があります。一般的には20〜30分程度の待機時間を設けたうえでの測定が推奨されています。
正しい測定方法を理解し、日常的な安全運転管理に活かすことが重要です。

なぜアルコールチェックが必要なのか?法的背景と安全運転への影響

アルコールチェックは、飲酒運転を防ぐために不可欠な安全対策です。道路交通法施行規則により、酒気帯び運転が禁止されており、緑ナンバーの車両を保有する事業所や、一定台数以上の白ナンバー車両を業務に使用している事業所には、アルコールチェックの実施が義務付けられています。この義務に違反した場合、罰則が科されるだけでなく、企業の社会的信頼を損なうリスクもあります。アルコールは判断力や反射神経を鈍らせ、重大な事故につながる可能性があるため、日常的なチェックが必要です。アルコールチェッカーを活用して正確な測定を行うことで、事故防止と法令遵守の両方を実現しましょう。

■アルコールチェッカーの測定方法の違いと特徴

アルコールチェッカーは測定方法の違いによって大きく2タイプに分けられます。

  • 吹きかけ式
  • 吹き込み式(ストロータイプ、マウスピースタイプなど)

以降では、それぞれの特徴を解説します。

吹きかけ式

吹きかけ式アルコールチェッカーは、センサー部分に息を吹きかけることでアルコール濃度を測定するタイプです。ストローやマウスピースを必要としないため、メンテナンスの手間が少なく、衛生的に使えるのが特徴です。一方で、吹きかける距離や角度、風の影響などによって測定値にばらつきが生じやすいため、適切な使用方法を守ることが重要です。正確な測定のためには、飲食や喫煙後は20~30分程度経過してから測定することが推奨されます。

吹き込み式

吹き込み式アルコールチェッカーは、息をセンサーに向けて吹き込んでアルコール濃度を測定するタイプです。息が拡散せずにセンサーに届くため、吹きかけ式と比べて測定精度が高いとされています。使用する機器には、専用ストローを装着するタイプや、マウスピースを使用するタイプ、さらにはマウスピースにストローを装着して使用することも可能なハイブリッドタイプなどがあります。いずれも共通して、測定値の正確さが重視される業務用途で多く採用されています。ただし、ストローやマウスピースは使い回しを避け、個別に管理・交換するなど、衛生面に配慮した運用が必要です。また、正確な測定を行うためには、吹きかけ式同様、飲食・喫煙などの直後は避け、20〜30分程度経過してから測定することが推奨されます。測定時は機器の使用方法に従い、適切な吹き込み時間や呼気量を守ることで、より信頼性の高い測定が可能になります。

■アルコールチェッカーを正しく使うためのポイント

アルコールチェッカーを正しく使うためのポイントとして、以下があげられます。

  • 測定前の準備と注意事項
  • 測定結果の記録と管理方法

以降で、これらのポイントについて詳しく解説します。

測定前の準備と注意事項

正確に測定するためには、アルコールチェッカーを使用する前の準備が重要です。まず、最後の飲食や喫煙から20分~30分ほど時間が経過してから測定することが望ましいとされています。喫煙後は、口内に残った一酸化炭素などの成分が影響し、センサーが反応する可能性があります。 飲食の場合も、アルコール分が口内に残っていると、アルコールチェッカーが反応してしまう可能性があるため注意が必要です。
次に、測定する際の周辺環境にも配慮する必要があります。極端に寒い場所や湿度の高い環境では、センサーの性能が一時的に低下することがあります。また、機器のバッテリー残量を確認することも重要です。バッテリー残量が極端に低下していると、電圧不足により動作が不安定になる他、動作そのものが停止してしまうリスクがあるため、正しく動作させるという意味では定期的な点検が必要です。これらのポイントを押さえることで、より信頼性の高い測定結果を得ることができるでしょう。

正確な測定を行うための手順とコツ

アルコールチェッカーで正確な測定を行うためには、適切な手順とコツを押さえることが重要です。まず、据え置き型・携帯型いずれの場合でも、使用前に電源が正常に入るかを確認するようにしましょう。持ち出す運用を行う場合には、バッテリー残量の確認や持ち運び中の破損・汚れ防止にも注意が必要です。
測定時は機器の種類に応じた正しい方法で息を吹きかける、または吹き込む必要があります。吹き込み式の場合は、一定の速度と時間で安定した呼気を維持することが、測定精度を高めるポイントです。急激な呼気や途中で息が途切れると、正確な測定ができない可能性があります。
いずれの方式でも、事前の準備と落ち着いた測定動作が、信頼性の高い結果につながります。

測定結果の記録と管理方法

アルコールチェックの測定結果を記録する際には、以下の項目を必ず記録として残しましょう。これは、道路交通法施行規則に基づく安全運転管理者の義務の一環です。

図表1: アルコールチェック記録簿に記録すべき項目
記録項目 概要
確認者の氏名 アルコールチェック結果を確認した管理者の氏名。
運転者の氏名 アルコールチェックの対象となる運転者本人の氏名。
自動車の識別情報 運転業務に使用する車両の登録番号、または車両を識別できる記号・名称など。
確認日時 下記に該当する場合、50万円以下の罰金となる。
確認方法
  • アルコール検知器を使用したかどうか
  • 対面でない場合は、その具体的な確認手段(例:Webカメラ、電話、記録映像など)
酒気帯びの有無 運転者が酒気を帯びていないことの確認結果。
指示事項 異常があった場合の対応や指示内容など。
その他必要な事項 社内ルールに基づく補足情報や記録項目があれば、あわせて記録。

記録簿は道路交通法施行規則により、1年間の保存が義務付けられています。
アルコールチェックの結果をクラウドサービスで管理する場合、一定のコストはかかりますが、データの一元管理がしやすく、セキュリティ面でも優れているというメリットがあります。また、検索性や共有のしやすさなど、日々の業務効率化にもつながります。
一方、紙で管理する場合は、記録簿の保管スペースを確保し、整理整頓を徹底することが重要です。保存期間中に紛失や劣化が起きないよう、管理体制に十分な注意を払いましょう。

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■アルコールチェッカーの選び方

アルコールチェッカーを選定する際は、使用目的や運用形態に応じて適切な製品を選ぶことが重要です。 特に注目すべきポイントは、「使用スタイル」と「センサー方式」です。業務の運用スタイルや利用人数、測定頻度などに応じて、最適な機種は異なります。
以降では、これら選定時のポイントについて解りやすく解説していきます。

使用スタイルで選ぶ

アルコールチェッカーの使用スタイルとして、大きく分けて据置型と携帯用の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、使用シーンに合ったタイプを選びましょう。

据置型

事業所内でアルコールチェックを行う場合には、据置型のアルコールチェッカーが多く使用されています。据置型は、複数人での共用利用を前提として設計されており、センサーの耐用寿命が長めに設定されている製品が多いという特徴があります。
そのため、携帯型と比較して測定可能回数が多く、頻繁な使用に適しているのが利点です。一方で、持ち運びには適していないため、設置場所が固定される運用に向いています。

携帯型

事業所外でのアルコールチェックや、出張・外回りの多い業務では、携帯型のアルコールチェッカーが便利です。軽量かつコンパクトな設計で、持ち運びやすく、充電式や乾電池式など、電源確保が難しい環境でも使用しやすい製品が多く提供されています。
また、個人用途として外出先や宿泊先で使用されるケースもあります。据置型に比べて比較的安価な傾向がありますが、測定可能回数や精度が機種により異なるため、使用方法に合った機種を選ぶと良いでしょう。

センサー方式で選ぶ

アルコールチェッカーを選定するうえで、センサー方式は非常に重要なポイントです。 測定結果が信頼できない場合、正確な判断や適切な安全管理に支障をきたすおそれがあります。アルコールチェッカーの精度は、アルコールを検知するセンサーの仕組みに大きく左右されます。
一般的に使用されているセンサー方式には、「半導体式」と「電気化学式(燃料電池式)」の2種類があり、それぞれに特性と適性があります。機種を選ぶ際は、コスト面だけでなく、使用目的や求める精度水準に応じて適切な方式を選定することが重要です。

半導体式センサー

比較的安価に導入できる点が特徴のセンサー方式です。
センサー表面に付着する酸素量に応じた電気抵抗の変化をもとに、呼気中のアルコール濃度を推定します。そのため、測定時の酸素量が不足している場合や、測定環境によっては、精度がやや低下する可能性があります。
また、周囲の空気環境(温度や湿度など)の影響を受けやすいという特性があるため、使用条件に注意が必要です。コストを抑えつつ簡易的に運用したいケースに適していますが、使用頻度や精度要件に応じた見極めが重要です。

電気化学式(燃料電池式)センサー

高精度かつ安定した測定結果を求める現場に適した方式です。 呼気に含まれるアルコールを化学反応により電気に変換し、その発生量をもとにアルコール濃度を計測します。この仕組みにより、高い測定精度と再現性が確保されやすく、信頼性の高い結果が得られるのが特長です。
半導体式に比べて価格はやや高めですが、測定精度の安定性、誤検知の少なさ、センサー寿命の長さなどの点で優れており、継続的に運用する企業や事業所での使用に適しています。

■アルコールチェッカーのメンテナンスと保管方法

アルコールチェッカーの性能を長期的に安定して維持するためには、日常的な点検やメンテナンス、そして適切な保管方法を理解し、実践することが不可欠です。
使用頻度や環境によって機器の劣化速度は異なりますが、管理を怠ると誤測定や故障の原因となり、安全運転管理全体に支障をきたすおそれがあります。特に、企業で業務用として使用する場合は、チェック体制の整備がトラブル防止や法令遵守に直結します。
以降では、アルコールチェッカーを安心・安全に運用し続けるための点検・メンテナンス・保管のポイントについて、具体的に解説します。

日常的な点検やメンテナンス方法

アルコールチェッカーを常に正確かつ安全に使用できる状態に保つためには、日常的な点検とメンテナンスが欠かせません。機器の故障や誤測定を防ぐために、以下のポイントを日常的な運用ルールとして定着させましょう。

【使用前の点検】
  • 電源が正常に入ることを確認する
  • 本体に破損や損傷がないことを確認する
【使用後のメンテナンス】
  • 本体の汚れは、乾いた柔らかい布で優しく拭き取る
    除菌シートやアルコールスプレーなどの使用は、センサーに悪影響を及ぼす可能性があるため避けてください。
  • 使用後は必ずキャップやカバーを装着し、ホコリや湿気から機器を保護する
    これにより、センサーの劣化や測定精度の低下を防ぐことができます。


また、定期的にセンサーの反応精度を確認し、メーカーが推奨する周期に応じて点検や校正を実施することも重要です。使用頻度が高い機器であれば、点検スケジュールの管理や記録の保存を習慣化することで、精度の維持と法令遵守の両立が可能になります。
このような日常的なメンテナンスを徹底することで、アルコールチェッカーの性能を長期にわたり安定して保ち、安心して継続的な運用が行えます。

正しい保管方法と環境条件

アルコールチェッカーを長期間にわたり安定して使用するためには、正しい保管方法と環境条件の管理が不可欠です。
保管環境が適切でない場合、センサーや電子部品の劣化を早め、測定精度の低下や故障につながるおそれがあります。以下のポイントを参考に、機器の保管環境を見直しましょう。

特に注意が必要なのは、温度・湿度の管理と周囲に揮発性のアルコール製品が存在しないことです。センサーは非常に繊細であり、環境要因によって徐々に性能が劣化していくことがあります。
また、落下や衝撃による故障リスクを避けるためにも、機器を安定した場所に保管することが重要です。万が一の転倒や落下を防ぐ工夫(滑り止めシートの活用など)も有効です。
これらの保管条件を満たすことで、アルコールチェッカーの測定精度を維持しつつ、故障リスクを最小限に抑え、機器寿命を延ばすことができます。

■まとめ

飲酒運転防止の要となるアルコールチェッカーを正しく活用するためには、機器の種類や使用方法だけでなく、点検・メンテナンス、保管方法まで含めて総合的に理解することが重要です。
本記事では、吹きかけ式・吹き込み式といったタイプ別の特徴や、正確な測定を行うための注意点、さらに適切な保管・メンテナンスの方法について詳しく解説しました。
企業としてアルコールチェックを継続的に実施するうえでは、日々の点検や記録管理の徹底が不可欠です。これにより、測定精度の維持と安全運転の確保が両立でき、結果として事故や法令違反のリスクを大幅に低減することが可能となります。
確実な運用体制を整えることが、従業員の安全と企業の信頼を守る第一歩です。

アルコールチェック円滑運用ガイドブック
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