車両管理をExcelで!車両管理台帳 テンプレートと運用のポイントを徹底解説

企業が保有する車両を安全かつ効率的に運用するうえで欠かせないのが「車両管理」。特にExcelを用いた管理方法は、初期コストを抑えながら必要な項目を見える化できる点で、幅広い業種や規模の企業で活用されています。
本記事では、Excelテンプレートの選び方や効果的な運用のポイントを徹底解説。車両管理台帳の作成から、免許や保険更新の漏れを防ぐ仕組みづくりまで解説します。
目次
■車両管理台帳のExcelテンプレート
車両管理台帳をExcelで作成する際、「具体的にどんなテンプレートを使えばよいか」が最初の疑問になる方も多いでしょう。実際、インターネット上にはさまざまな無料・有料のテンプレートが公開されています。いろいろなテンプレートが存在しますが、実際には企業の規模や運行内容によって必要項目が異なるため、テンプレートを活用しながら自社用にアレンジするのが理想的です。
参考テンプレート:車両台帳 (一般社団法人神奈川県トラック協会)
Excelは柔軟性がある一方で、複数人による同時編集やバージョン管理の問題が生じやすいため、後述する「システム導入」という選択肢も視野に入れながら、どの運用形態が自社に合うか検討してみてください。
■車両管理台帳の目的とは

リスク回避
車両管理台帳を整備する最大の理由は、事故やトラブルを未然に防ぎ、安全・効率的な運行を実現することにあります。そのためには、車両の安全性が担保されていることがとても重要です。さらに、リスクを把握・管理することで、経営的損失を未然に防ぐことにも繋がります。車両を複数台保有する企業や営業所を構える事業者にとって、車両管理台帳は経営インフラの一部ともいえます。
業務効率化
車両管理台帳を運用することで、大きなメリットとなるのがリスク回避です。例えば車両の車検が切れているまま走行すると、道路交通法違反に該当します。また、保険が更新されていない場合、万一の事故時に補償が受けられず、企業の信用や財務リスクに直結しかねません。台帳があれば、どの車両がいつ車検を受ける必要があるか、保険の更新日はいつかを視覚化できるため、管理者が主体的にフォローアップしやすくなります。
■車両管理台帳の記載項目
「車両管理台帳」には、①車両情報、②保険に関する情報、③点検整備情報 の大きく3つの記載項目があります。これらの項目は、法令により記録項目を明確に指定されている訳ではありませんが、実務上の必要性や法令遵守の観点から「記録すべき」と考えられます。これらの項目をしっかり管理することで、法令遵守はもちろんのこと、事故やトラブルを未然に防ぎやすくなります。下記では、それぞれの記載項目について詳しく解説します。
カテゴリー | 項目例 |
---|---|
①車両情報 | 自動車登録番号 初年度登録年月 型式 車名 車台番号 自動車の種別 最大積載量 車両総重量自動車検査証の有効期限 NOx・PM法使用車種規制に係る事項 基準緩和車両に係る事項および配属営業所 |
②保険に関する情報 | 自賠責保険に係る情報 任意保険に係わる情報(任意) |
③点検整備情報 | 点検の年月日 点検の結果 整備の概要 整備を完了した年月日 その他国土交通省令で定める事項 |
①車両情報
上記の項目を見ると、自動車検査証に記載のある情報が基になっていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。そのため、最新の自動車検査証の写しを綴じて、車両台帳の代わりとしても問題がないとされています。
参考:トラック運送事業を適正に行うにはー業務管理の要点ー (一般社団法人東京都トラック協会適正化事業部)
②保険に関する情報
自賠責保険に係る情報を記載する必要があります。こちらについても、自賠責保険の写しを綴じておく形でも問題がないとされています。また、任意保険の情報についても一括で管理しておくことで、有事の際にも便利に使えるものとなるでしょう。
参考:トラック運送事業を適正に行うにはー業務管理の要点ー (一般社団法人東京都トラック協会適正化事業部)
③点検整備情報
点検整備情報は、厳密に言うと車両台帳とは別の扱いになるものです。しかし、車両台帳と併せて管理しておくことで管理効率が向上するため、一元管理しておくことをお勧めいたします。点検整備の記録については、道路運送車両法第四十九条で記録項目が定められています。漏れなくしっかりと管理ができるように、正しく理解しておくことが重要です。
参考:道路運送車両法第四十九条 (e-Gov法令検索)
■車両管理台帳の3つの運用方法
車両管理台帳をどのように運用するかは、企業の規模や管理担当者のスキル、予算などによって変わります。大きく分けると、「紙で運用する」「Excelで運用する」「システムで運用する」という3つの方法が考えられます。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の状況を踏まえて選択しましょう。
紙運用
紙の台帳やファイルで管理する方法は、ITリテラシーが高くない現場でも導入しやすく、少ない車両台数であれば運用可能です。しかし、車両台数が増えてくると、管理に手間がかかり、ファイル紛失等のリスクも高まります。また、更新内容を複数人で共有する際、コピーが必要になったり、タイムラグが生じたりしやすい点もデメリットです。
Excel運用
Excelでの運用は、初期コストがかからず、テンプレートさえ整備すれば比較的短期間で導入できる点が魅力です。自由度が高いため企業独自のカスタマイズもしやすいでしょう。一方で、担当者が複数いる場合には、更新漏れやバージョン管理の問題、入力ミスなどが発生しやすくなります。
システム運用
システム、特にクラウド型の車両管理システムを導入すると、リアルタイムで情報を共有できるほか、車検等の期日が近づいてきた際に自動的にアラートを出す機能などが利用できるものもあります。紙やExcelに比べて導入コストがかかる面はあるものの、管理効率や安全性の向上というメリットが大きく、車両台数の多い企業や拠点が複数ある企業などには非常に有効です。
■車両管理台帳の保存期間
車両管理台帳の作成や保管については、法律による明確な定めがありません。そのため、その保存期間についても同様に、明確に定められていないというのが実態です。
しかし、運送事業者は巡回指導への対応のことなどを考慮すると、車両の廃車や売却を行うタイミングまで継続的に更新・保管する必要があると考えられます。
■紙やExcelによる車両管理における課題
ここまで車両管理台帳の作り方や運用方法をみてきましたが、現実には「管理を徹底したいのに、なかなかうまくいかない」という声も多く聞かれます。ここでは、紙やExcelによる運用の課題について3つ紹介します。
①車検などの更新漏れ
属人的な管理が続いていると、担当者が変わったり多忙になったりすることで、車検の時期や保険の更新期限を把握できなくなるケースがあります。Excelや紙の台帳での管理は特に、更新のタイミングを見落とす可能性が高く、見落とすと大きなリスクにつながりかねません。
②紙の記録類の管理場所に困る
運転日報や点呼記録などが紙で管理されている場合、膨大な量のファイルが倉庫に積み上がり、必要な書類を探し出すのに時間がかかります。監査などのときにどこに何が保管されているのか把握できず、混乱が生じることも珍しくありません。
③リアルな状況が把握しにくい
コスト管理の観点から、車両を適切な台数に調整することは重要です。しかし、紙やExcelで記録しているだけでは、どの車両がどれだけ稼働しているのかをリアルタイムに把握しづらく、稼働率や利用状況にムラがある場合も多いです。その結果、不要に車両を保有しているかもしれないリスクを見落としてしまいます。
■紙やExcelから脱却する方法とは
上記のような課題を踏まえて、近年注目を集めているのが「車両管理システム」です。とりわけクラウド型のシステムは、クラウド上でデータを一元管理し、リアルタイムに更新情報を共有できるため、紙やExcelでの運用ではカバーしきれない問題を解決する手段として有効です。
車両管理システムを導入すると、車検や保険更新日が近づいたときに自動的にアラートを出せるなど、ヒューマンエラーを大幅に減らす仕組みが整います。
また、点呼管理システムやアルコールチェック管理システムの付随機能として、簡易的な車両管理機能が付いているケースもあるため、検討を進める際には幅広く情報を集めることをお勧めします。
デジタル点呼マネージャー
車両管理システムの導入を検討する際、アルコールチェックや点呼を含め、総合的にサポートしてくれるサービスを選ぶことで、安全運行と業務効率の両面で大きな効果が期待できます。 弊社が提供しているデジタル点呼マネージャーは、IT点呼や遠隔点呼などの様々な点呼方式に対応した点呼管理システムです。点呼管理だけではなく、車両情報管理や従業員情報管理の機能も備えており、運行管理者の業務を幅広くサポートすることが可能です。この機会に、安全運行と業務効率化の両立を検討してみませんか?