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導入事例

柿原工業株式会社様/ZIZAIA IssT導入事例

  • 業種 製造業
  • 導入サービス ZIZAIA IssT

ZIZAIA IssT導入を通じて、タブレット端末活用によるペーパレス化とIoT活用によるめっき加工の品質改善・現場の意識改革に成功


topimage.png  自動車部品メーカーを主な取引先に、めっき加工などを中心に事業を展開。金型設計・製作、射出成形、めっき、塗装、組立までの一貫生産対応。 めっき加工においては、ABS樹脂やPC/ABS等の各種エンプラ材料への様々な種類の加飾めっきに対応。本社工場においては、自動車部品のめっきを全自動めっき加工4ライン体制できめ細かく対応可能となっている。

本社 :広島県福山市箕沖町99-13
設立 :昭和37年4月
代表 :代表取締役 柿原 邦博
従業員数:240名(2015年4月)
資本金 :9,000万円
売上高 :52億円(2015年4月 実績)
URL :http://www.kakihara.co.jp/


 広島県の柿原工業様は、自動車や部品メーカーから依頼を受け、金属や樹脂部品を自社工場で製造し、めっき加工を施して納入するめっき加工部品メーカー。めっき加工は、気温や湿度、風向き、風量、大気の質など環境の変化が品質に大きく影響し、同社はこれまで長年積み重ねてきた現場の知恵と経験を武器に高品質なめっき加工部品を市場に提供している。
 時代が大きく変わる中、より高品質な製品を安定供給していくため、製造現場のIT化推進プロジェクト「Karp(Kakihara Re:IT Project)」を発足し、同社独自の「Karpシステム」を構築。システムにより、以下の作業改善・品質改善を実現した。


導入効果
1.作業書類ペーパレス化による工程管理・作業効率の向上
2.タブレット端末活用による検査工程の効率化と結果把握の迅速化
3.IoT活用による生産ラインの環境モニタリング
4.Karpシステムデータ、IoT機器収集データを活用した不良発生原因の分析力向上

はじまりはタブレット端末による入力支援から

image1.png  「すべてのめっき部品は、70人の検査員が目視で全20項目の不良をチェックしています。検査員は不良品を見つけたら用紙に記入してロット単位で集計。その後、結果をパソコンに入力して管理しています。しかしこれだと検査完了からデータ化までにタイムラグが発生し、どの部品で、どんな不良が、どれだけ発生していたかといった直近の現場の状況が見えません。そのため不良が出ても対応に時間がかかり、歩留まりに影響していました。またデータ入力にも1日5時間以上かかっていました。」 ― 総務課 市川課長はこう振り返る。

 そこで解決策として上がってきたのが、タブレット端末による作業結果の入力支援。セミナーで話を聞いて興味を持ち、それから社内での検討が始まった。
「タブレット端末入力で不良の発生状況が即時に分かれば、すぐに対応して改善できるのではと直感的に感じました。最近はほとんどの人がスマートフォンを持っており、誰でも簡単に使えるだろうと思いました」 (総務課 市川課長)。

システムパートナー企業の選定

 市川課長は多くのシステム開発企業に声をかけ、自らのアイデアを具現化する提案依頼をおこなった。望んでいたのは、直感的で誰でも簡単に使えるもの。しかし、提案依頼をおこなった各社からは良い提案が出てこなかった。
 そんな時に出会ったのが、広島を拠点に事業展開をおこなっている田中電機工業とタブレット端末でのシステム開発経験が豊富なインフォセンス。提案において、タブレット端末を利用した作業日報デモアプリが紹介され、その使い勝手は現場からも高評価であった。
 市川課長は「製造現場には老若男女さまざまな人が働いています。彼らがすぐに使え、慣れてもらう必要があります。しかし、提案の多くはEXCELがそのままタブレット端末に入っただけのものや、高機能過ぎるものばかりでした。田中電機工業さんとインフォセンスさんは現場で使うという趣旨を一番良く理解いただけました。プロジェクトがスタートした後も、密にコミュニケーションを取りながら連携することができ、非常に満足しています」と振り返る。

製造現場の見える化システム構築へ

 その後、システム構築に向けて製造現場とシステムイメージの話を進めていくと、不良の発生時間や種類、数などタブレット端末で入力されるデータと、その時の製造現場状態の相関関係 を見ることができれば不良の原因が分かるかもしれないという声が上がってきた。そこで、めっき加工ラインにセンサーを設置して環境データを集め、生産データと作業データを合わせて分析をおこなってみようという話にシステム構想が拡大。工程と工場の見える化に向けたシステム全体像が出来あがり、主に以下で構成された。


・作業指示情報の管理・共有
・タブレット端末による作業日報入力
・IoT活用によるめっき加工ラインの環境データ取得
・ビジネスインテリジェンス(以下、BI)技術を活用したデータ分析基盤

 システム名称は、プロジェクトの名称(Kakihara Re:IT Project)より「Karp」システムと名付けられた。プロジェクトメンバーは市川課長始め、小笹課長代理、槇原課長代理、松下係長、占部係長代理を中心に編成され、現場の協力を仰ぎながら積極的な推進がおこなわれた。


image2.png  作業指示情報の管理・共有については、検査日報サーバーに登録されている作業指示情報を、各工程に設置された大画面モニターへ表示し、リアルタイムに情報共有可能な仕組みを構築。






image3.png  工程にて作業完了した製品については、ラベルプリンタにて製品情報が記載された"Karp"ラベルを出力し台車への貼付。次工程へ正確で分かり易く情報を渡す仕組みも構築されて運用改善が図られた。






image4.png  タブレット端末による作業日報入力については、タブレット端末にて検査作業日報の記入がおこなえるアプリケーションを作成し、日報入力工数削減と検査結果のリアルタイム確認を可能とした。







 タブレット端末向けアプリケーションについては、タブレット向けアプリケーション開発ツール「ZIZAIA IssT」を利用して作成をおこなった。
 予め用意された部品や開発テンプレートを活用する事により、直感的で分かりやすい画面デザインで高品質なタブレットアプリケーション提供を短期間で可能とする効果的な開発ツールである。

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ZIZAIA IssTに関する詳しいご紹介はこちらをご覧下さい


image6.png  IoT活用については、4つの めっき加工ラインすべてに無線を活用した温度・湿度センサーを設置し、このうち1つのラインには風向・風速センサーも追加。導入するIoT機器、IoTゲートウェイについては工程の特性上、耐環境性含めて高い性能を要求されたが、組み込みシステム/電子機器の受託開発・製造で高い技術力を誇るロジカルプロダクト社の協力を受けて対応をおこなった。





image7.png  IoT機器で取得されたデータはIoTゲートウェイを経由してデータサーバに取り込まれる。BIツール「QlikView」を利用して検査結果データと連係させ、多角的な視点でのデータ分析基盤の構築もおこなった。

何十年も分からなかった不良の原因を解明。作業員の意識にも変化が

 2016年3月にプロジェクトが開始され、9月に作業指示情報の管理・共有とタブレット端末による検査作業日報の入力支援機能をリリース。11月に温度・湿度センサーを設置し、翌2017年2月にBIツールを活用した見える化システムが稼働開始。6月には風速・風向センサーも設置し、Karpシステムが完成した。
 システム導入効果はすぐに現れ、不良発生から対策までの原因解明時間を短縮。また発生した不良についてもデータに裏付けられた分析がおこなわれ、原因特定につなげることが可能となった。
 例えば、めっき工程で発生していた特定しづらい不良原因も、IoT活用により工場内の空気の流れによる原因である事が早期に判明。短期間で具体的な対策を打つことが可能となった。
 他にも、作業指示情報の共有や検査作業日報入力工数の削減などのあらゆる効果があったが、一番大きかったのは"作業員における不良への意識づけ"ができたこと。データに裏付けされた現場改善が活発におこなわれ、作業員の不良に対する関心度も高まり、工程間の情報共有によって現場がスムーズに動くようになり品質改善に繋がってきている。
 また、作業指示書や検査作業日報のペーパレス化が図られた結果、現場から紙が減り、現場がキレイになったと職場環境の改善においても好評を受けている。

経営陣にも高評価。今後の目標として他部門やパートナー企業、情報システムとの連携も

 経営陣は今回の結果に満足し、Karpプロジェクトは大成功の結果となった。現在は次のステップとして全社的な取り組みへと広がってきている。
 成形工程のシステム化や、検査のアウトソーシングをお願いしている外部企業とのデータ連係、ハンディターミナルやRFIDなどを利用した在庫管理などをやりたいといったさまざま要望が挙がってきており、全社員の改善意識が日々高まってきている状況である。
 市川課長によると、「見える化によって色々なデータが見られるようになり、社員の意識が変わりつつあります。今後は売り上げや受注情報なども管理し、経営陣から現場の作業員までが同じ情報を見て、同じベクトルを向いて仕事ができるようになればと思っている」との話もあり、データ分析に基づく情報活用についても構想が広がってきている。

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